雫は胸がぎゅっと締めつけられた。
会いたかった。
でも会わせる顔がないと思っていた。
それでも、三人の間に流れた沈黙を破るように、雫は小さく笑った。
『……ごめん。
ずっと黙ってて、心配かけたよね』
その言葉に、沙月が首を横に振る。
「謝らないでよ……!でも雫がいなくなって……学校も来てなくて連絡もなくて……ずっと、ずっと怖かった……!」
気づけば沙月の目には涙が浮かんでいた。
蓮太郎は視線をそらしたまま、低く言う。
「ごめん。俺たち……お前があの日あんな言い方したのも、なんも気づけなかった。
勝手に傷ついて、勝手に怒って……最低だったわ」
雫はゆっくり首を振った。
『違うよ……私が悪かったんだよ。本当のこと、何も言えなくて……
沙月のことも、突き放すような言い方して……ほんとに、ごめん」
沙月は涙を拭いながら、ぐっと雫の手を握った。
「……雫が生きててくれるなら、それだけでいいよ。また会えて本当によかった。私ね、雫のこと大好きだよ。ずっと」
雫の胸が熱くなった。
『……私も、沙月が大好きだよ。』
『ずっと友達でいてくれて……ありがとう』
「もう見失わないから」
蓮太郎は力強く言ってくれる。
雫は涙をこぼさないように、そっと笑った。
『……二人とも、大好きだよ。
来てくれて、ほんとにありがとう』
病室に温かい空気が満ちていく。
傷つけたけど、戻ってきた。
失ったように見えたけど、ちゃんと繋がっていた。
そのことが雫の胸の奥を静かに満たしていった。
