この命のすべてで、君を想いたい

「もういいよ、雫。分かってるから」


『だめ……分かっちゃダメだよ……』


「もう、離れたくないんだ」



空の声は静かなのに、必死で。

その必死さが、私の弱いところを真っ直ぐ刺す。




『やだ……空が……不幸になる……』


「そんなわけないって」


そう言える空が、ずるい。優しすぎて、刺さる。




『……私の気持ち……分かってよ……お願い……
 私がどういう気持ちで……空と離れたのか……』



途切れ途切れの声を、空は一度も遮らなかった。
ただ、全部受け止めるみたいに私の頬を包んでくれる。



「……分かるよ。全部。
 今までのも、今のも、これからのも」


その優しさに胸がぎゅっと縮んだ。