空に抱きしめられたまま、胸の奥の蓋が外れてしまったみたいだった。


ずっと押し込めてきた言葉が、熱に背中を押されるように溢れだす。


『……やだ、空。会いたくなかった』

自分でも嘘だと分かってる。
でも、会いたかった気持ちを言うのが怖かった。

空が静かに言う。

「嘘だよ。さっきは“会いたかった”って言ってた」

『違う……それが嘘……』

空の腕が少しきつくなる。
その強さに、逃げられなくなる安心と、どうしようもない苦しさが同時に押し寄せた。