でも、少ない言葉でも

あの日のこと、

今の雫のこと、

雫の時間が
あと少ししか残されていないことを


みんなわかっていた。



空はその言葉に顔を強張らせ、席を立つ。
「……俺、行くわ」

『え?』

裕大がわずかに声をあげる。

刹那に空は走り出す。


『空、待て!落ち着け!』

しかし空は振り返らず、勢いよく教室を飛び出していく。



沙月と蓮太郎も呆然と立ち尽くす。

裕大は胸の奥がぎゅっと締めつけられるのを感じる。


『面会は!俺しか出来ないことになってるから!』

走り去る空の背中にそう呼びかける。



本当は俺だけの秘密にしておきたかったのに……
でも、これで少しでも



机の上に手を置き、深く息をつく。


「俺たちも...」

と蓮太郎は鞄を準備するが、
裕大はそれを何も言わずに止める。




今日だけは二人きりで...




教室にはまだ、裕大の言葉の余韻だけが残っていた。