らしくない......
その言葉に雫の辛そうな顔を思い出す。



そうだよ、あいつはらしくない別れ方で、

みんなを、空を傷つけたくないからって、別れを選んで、一人で離れたんだよ。

あんなに泣いて、一人で抱え込んで。


『なんで、お前らはそんなことも分かんないんだよ。』


思わず思っていたことが口から飛び出す。


「え、何?」

空は裕大の小さな声に反応する。
 


『もう、好きじゃないならお前には関係ない。』



「は?好きに決まってんだろ。忘れてるわけねえだろ。でも雫が幸せにならそれでいいと思って...」


空は苦しそうに唇を噛んでいる。



お互いが、お互いの幸せを願っているのに。
もう雫には残された時間は少ないのに。



俺はどうすればいいのか。
裕大は口を閉ざしたまま。心の中で葛藤が渦巻く。



教室の空気は、裕大の怒りと葛藤で張りつめていた。

裕大は唇を噛み、目を閉じる。心の中で何度もためらった。


本当は言っちゃいけない……

でも、雫の残された時間は限られてる。


俺だけじゃなく、空に、みんなに会ってほしい...それが雫の幸せだと思うから。