ある日、雫が放課後に廊下を歩いていると、空が隣を歩きながら軽く声をかけた。
「雫やっほー、元気?今日は天気いいね」
『うん、青空っていいよね』
小さく返す雫に、空はにっこりと微笑む。
いつのまにか私のことを雫と呼び捨てしている。
短い会話だけれど、なんだかほっとする。
廊下の静かな空気に、二人の声だけが穏やかに響くようだった。
日常的な会話も少しずつ増えていく。
雨の日には「傘持ってきた?」と聞かれたり、
授業のちょっとした疑問を軽く質問してみたりすることもあった。
雫は無理せず笑顔を返せる瞬間が増えていた。
こうして二人の距離は、知らないうちに少しずつ縮まっていった。
