この命のすべてで、君を想いたい

裕大はしばらく黙っていた。
怒ってもなく、責めてもなく、ただ痛そうな顔で。


「……雫が誰を大事にしてるかくらい、俺だって分かるよ」


雫はぎゅっと目をつむった。

涙をこらえたというより、蓋をして閉じ込めるみたいに。


裕大は膝の上で手を握りしめ、ゆっくり続ける。



「空に言いたくないんだよな……だから」


雫の肩が小さく震えた。



『……そうだよ。みんなには……特に空には言いたくない。』


『言ったら、みんなの未来まで壊すから。』


『私がいたら……空は幸せになれない』



自分に言い聞かせるみたいな声でゆっくりとそう言う。


あの時の決意をまた言うことになるなんて...
胸が締め付けられるように痛む。




短い沈黙の後、裕大は長く息を吐いて、天井を一度見上げる。



その一瞬で、何か覚悟を決めたようだった。


「……じゃあ、言わなくていいよ」


雫は驚いて顔を上げた。



裕大は続ける。


「空にも、みんなにも言わない。絶対に言わない。」

「でも……雫を一人にするのも無理だ。俺はそこまで強くない」