「みんなを傷つけたくなくて、そのためにあんな別れ方したんだろ?」


雫が顔を上げて裕大の顔をじっと見つめる。

自分の目から涙がどんどん溢れるのを感じる。


あの日のことを思い出して、辛くて悲しい気持ちでいっぱいになる。



「あれは...雫らしくなかったよ。一人で辛かったな。」




雫は一瞬息を詰め、目を伏せる。
ゆっくり息をつき、声を震わせながら言った。


分かってくれて、来てくれて、本当に嬉しいの。



でもね、こんなに優しい裕大だから...



『裕大……もう、帰ってほしい。私、また傷つけるだけだから』



それは“裕大を”じゃなくて、“空を”だと裕大は気づく。


言葉にしないけど、雫の目はそれを全部物語ってしまっていた。