風が吹き、袋が揺れ、
雫は決意したように立ち上がった。


『ねぇ……みんなに話したいこと、あるんだ。』


その声があまりに静かで、屋上の風すら止まったようだった。



俺の心臓だけが大きく鳴った。



『私……空と、別れようと思う。』


頭の中が一瞬で真っ白になった。


沙月が「なに?どうしたの?」と声を上げ、
蓮太郎は固まり、
裕大の箸がカタ、と落ちる。


雫は……どこか必死で、苦しそうで、でも逃げ場のない顔をしていた。


俺は、震える喉から絞るように声を出した。

「雫……俺、何かした?」

本心だった。
わからなかった。


昨日も一緒に帰って、雫は笑っていたのに。