この命のすべてで、君を想いたい

泣くな、私。あと少しだよ。



『でも、私は好きじゃない。今までありがとう』






雫の右手が小さく揺れていたことを、その場の誰も気づけるわけがなかった。




うん、言えた。良かった......



雫は踵を返す。


悲しくて辛くて苦しくて、
頭がそんな感情で支配されていく。






屋上の扉を開けるまでは、ただの演技。



でも扉が閉まった瞬間、世界が揺れた。



足が勝手に速くなる。


涙が止められない。


廊下が滲んで、前がよく見えなかった。

 


――ごめん、空。ごめん、みんな。
 
――ほんとは、ずっと一緒にいたかった。




みんなのことを
もっともっと
心の底から大切にしたかったよ。


一生、ずっと愛したかったよ。


 
雫は誰もいない階段を駆け降りながら、声の出ない嗚咽を飲み込んだ。



屋上にはまだ、三人の衝撃と、
空の割れそうな沈黙だけが残っていた。