雫は続けた。


『こないだ、冬休み少しみんなに会わなかった時に、祖父の介護をしてて、黙っててごめんね。』



『その人とは、祖父の介護で知り合ったの。……辛さとか、全部、わかり合える人なの』


考えて、何度も練習した嘘がスラスラと出てくる。


重ねる嘘と並行して、心がパリパリと崩れていくような気がする。



「だからって……そんな急に……」

空の声が震え続ける。



「雫、俺……本当に意味がわかんねぇよ」



『空は何してくれた?』



空は何でもしてくれた。
私の過去も辛さも全部受け止めてくれた。



『空のことなんて、もう好きじゃないの』



何度言っても慣れないこの言葉に、喉の奥がぐっと傷んでくる。



「……っ」



空は俯き、拳をぎゅっと握りしめていた。
でも、責める言葉はひとつも出なかった。




―そんな優しいところが、大好きだった。





そっか、私空のことが大好きだよ。



「俺は、まだ大好きだよ、別れたくないよ」



私が辛い時に、悲しい時に、困った時に、
ずっと私の隣にいてくれた。


どんな時も、どんな場所にいても
あなたが大好きだった。


あなたのことをいつも想ってたよ。