沙月が慌てて言う。


「雫、何言って……そんなの、絶対――」

『黙って』
 

雫の声は冷たく響いた。
 

沙月の目が大きく揺れる。


『これは私と空の問題なの。関わらないで。……正直、ウザいよ』



「っ……そんなわけない、いつもの雫と違いすぎるよ」
 

沙月の目から涙がこぼれた。



沙月は私の初めて出来た友達で、親友だった。


あなたの優しさや無邪気さにいつも救われてた。



『元々私はこうだよ。嘘ついてただけだから。』



あなたの事が好きだから、大切だから。
今日嘘をつくことをいつか笑って許してほしい。



でもね、
一緒に過ごした温かい日々に嘘なんて一つもなかった。



沙月はこれからも私のいちばんの親友だよ。


ごめんね...沙月。




蓮太郎が沙月の手をぎゅっと握っている。
沙月の肩をそっと抱きしめる。


その手には力がこもっている。
それを見て安心する。



沙月は一人じゃない。



そう、このままさ、


みんなで幸せになって...



裕大は何も言わず、ただ唖然として雫を見つめている。