この命のすべてで、君を想いたい


次の日の放課後。

沙月が「今日カフェ寄って帰ろ!」と誘ってくれたが、雫は笑って首を振った。

空が「雫最近ちょっと疲れてるからな」と小さく伝えてくれる。


雫は『ちょっとね』と答え、
空と目を合わせられなかった。


空はそれ以上は何も言わず、ただ隣に歩幅を合わせてついてくる。


帰り道、信号待ちのとき。
空がポケットからキャンディーを取り出して雫に差し出した。


「これ、好きだろ?」

『……覚えてたんだ』

「当たり前だろ。雫にあげた中で、一番反応よかったやつ」

雫はふっと笑った。


でもその笑顔の裏で、心がひどく揺れていた。

 ――ずっと一緒にいたかった。
 ――もっと、空の隣にいたかった。


でもそれは叶わない願いだ。

夜、布団に入ってからもそのキャンディーが頭を離れなかった。
 


死ぬ前に、あの人に何を残せるんだろう
そんな答えのない問いがずっと胸に居座っていた。