この命のすべてで、君を想いたい

冬休みが終わった後、

それからの日々は、どこか他人の人生を眺めているみたいだった。

 
学校へ行くと、いつもと変わらない光景があった。

「雫、おはよ」

空はいつも通り柔らかい声でそう言い、
雫の前髪の乱れを何気なく整えた。


そんな小さな仕草ひとつで、雫は泣きそうになった。



「今日の空、寝癖ひどくない?」

「やべっ、宿題やってねぇ!」


みんなの声もどこか遠くに聞こえるような気がする。


――日常って、こんなに優しかったっけ。



そのどれもが懐かしいくらいに愛おしくて、胸が痛んだ。



雫だけが違ってしまったようだった。


笑うのも、話すのも、教室の椅子に座っていることすら、


全部「あと何回できるんだろう」と意識してしまう。


カウントダウンが勝手に始まってしまったみたいに。


みんなは気づかない。
 

それが嬉しくて、苦しくて、どうしようもなかった。