その夜は、二人で小さな映画会。

毛布にくるまりながら、好きな映画を選び、時折手を握り合う。



雫は軽く頭の痛みを感じたけれど、空の笑顔と手の温かさで気にならなかった。

『ねぇ、空』
雫がそっと言う。
 

「ん?」


『こうして過ごせる時間って、すごく幸せだね』


「うん、俺も雫といるだけで幸せ」


『……ずっと続けばいいのにね』


「もちろん、ずっと一緒」



雫はそっと頷き、目を細める。

二人で手を握り合い、心の底から安心する。




――この冬休みは、

結果的に二人で過ごせる


最後の幸せな時間になるなんて、まだ誰も知らない。