この命のすべてで、君を想いたい

湯気の中、2人は明日のことしか考えていなかった。




1年後も、5年後も、10年後も――
このまま並んで笑っている未来を本気で信じていた。



そして雫が、湯に頬を沈めながら呟く。



「空と生きていく未来、全部楽しみなんだよ。ほんと、全部」


空は雫の手を包みこむ。にっこりと笑う。



その笑顔は柔らかくて、湯気に溶けそうなほど幸せそうだった。




「俺も。雫と話す未来、全部叶えたいって思う」


『全部は無理だよ〜』


「いや、全部叶える。その分頑張るから」


雫はくすっと笑う。






その答えは、迷いも影もなくまっすぐだった。



湯気の中で交わしたその約束は、

2人の知らない場所で静かにほどけはじめていることに、





まだ誰も気づかないまま――。

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