昼休みの食堂は、ざわざわとした声で満たされている。



沙月は相変わらず明るく、隣でお弁当を広げながら喋り続けていた。

「ねぇ、昨日の傘の人さ空くんだったんだね!かっこよかったでしょ!?」

『……うん、まぁ。』

「“まぁ”ってなにそれ〜!もっとテンション上がらないの!?」

沙月は笑いながら肩を揺らしてくる。
雫は少し笑って、持っていたお箸を動かした。



昨日のことを思い出す。

青空柄の傘、そしてその傘を渡してくれた空の笑顔。



あの瞬間のことを考えると、胸の奥が少しだけざわつく。