この命のすべてで、君を想いたい

早いもので、記念日の夜がやってくる。


雫の家はいつも通り静かで、玄関を開けた瞬間から“2人だけの世界”になる。

『今日はちゃんと料理作ったの。簡単なのしかできないけど』


「え、めっちゃ嬉しいんだけど。雫の手料理久しぶりだわ」


『空が素敵なの作ってくれたから今日は私が頑張る日』


キッチンから漂う香りは落ち着いていて、
どれも空の好みをちゃんと覚えてくれてるのが伝わってくる。



テーブルに座って食べながら、2人は自然と笑い合う。

「うま……雫ってほんと料理上手だよね」


『褒めても追加で出ないよ?』


「出なくても言うよ。好きだから」


『…そういうの急に言うと、困るし』


でも口元は嬉しそうで、空はそれを見るだけで幸せになれた。



食後は、雫が冷蔵庫からホールケーキを取り出す。



『じゃーん。記念日ケーキ!』


「え、これ買ってくれてたの?」


『今日までに食べないように我慢したの。偉くない?』


「偉いし可愛いし……ほんと最高」


『今年は空がロウソク消していいよ』


「うん、分かった。来年は雫ね」


空がふーっとロウソクを消す。
おめでとうとお互いで小さく拍手し合う。