この命のすべてで、君を想いたい

『空……私からも、プレゼントあるよ』

震える手で、鞄から小さな箱を取り出す。

空が目を丸くした。


「雫、俺にも?」


『うん。お互い誕生日近いし……一緒にお祝いしたかったから』


空が箱を開けると、中には黒いレザーのキーホルダーと、短い手紙。


“空へ
いつもそばにいて幸せにしてくれてありがとう、これからもずっと一緒に笑っていようね。”

空は無言で読み終えると、唇を噛んで私を見る。


『誕生日おめでとう、空、大好きだよ。』


「……雫大好き、これ……宝物にする」

少し震えた声だった。


『よかった……空が喜んでくれたら、それでいい、ケーキと料理もまた準備するね』


空は私の手をそっと包む。


「俺さ、こんなに嬉しい誕生日初めてだよ」


『私も……空のおかげで、すごく幸せ』

手と手が重なったまま、自然と身体が近づく。


私の名前を呼ぶ声が、小さくて優しい。

「雫」

『…空』

お互いを呼ぶ声だけが静かにリビングに響く。


ただ呼ばれただけで胸が熱くなる。


「来年も……再来年も……ずっと一緒に祝いたい」

『うん……私も』



その瞬間、空がそっと額を合わせてきた。
ぬくもりが伝わって、呼吸が少し乱れる。



「雫……大好きだよ」

『…私も、空が大好き』




世界で一番幸せな時間だった。

あの瞬間の私たちは世界で一番幸せだった。




今日という日が一生忘れられないほど、

深く心に刻まれた――。