この命のすべてで、君を想いたい

ケーキを分け合って食べていると、空が急にそわそわし始めた。


「えっと、実は……プレゼントがある」

『え、ほんと?』

「うん。ちょっと待ってて」

空が自分の部屋に走っていき、戻ってきたときには小さな紙袋を持っていた。


差し出された袋を受け取ると、手が震えた。

開けると、中にはシルバーのブレスレット。


細くて控えめで、私の好みにぴったり。



『…空』

嬉し過ぎて涙が溢れそうだった。


『料理とケーキで十分なのに...』

やっと絞り出した言葉は柔らかく響く。



「雫、最近よく手首に髪ゴムつけてるじゃん?」


「あれ見てて……可愛かったから、ちゃんとしたアクセつけてくれたら嬉しいなって思って」

普通の言い方なのに、すごく心が温かくなる。


「でも無理に着けなくていいよ。嫌だったら――」

『嫌なわけないよ!』

思わず遮ってしまった。

『むしろ、すっごく嬉しい……ずっと大事にする』


ブレスレットをつけて見せると、空の目が少し潤んだように見えた。


「似合ってる。……雫、ほんとに、似合ってる」



胸がきゅっとなる。
嬉しいとか幸せとか、そんな言葉じゃ足りない。