この命のすべてで、君を想いたい

食後、空が照れながら言った。

「ちょっと待ってて。ケーキ出す」

冷蔵庫から出てきたケーキは、小さいけど可愛いデコレーション。

上には"雫、おめでとう"ってチョコプレート。



『え……名前書いてある……』

「そりゃ書くだろ、雫の誕生日だもん」


こうやって祝われたのは人生初めてのことだった。


家族団欒の様で胸の奥がぎゅっと熱くなる。



火をつけたロウソクがゆらゆらと揺れる。



「雫、願いごとして」


横では空が小さく誕生日の歌を口ずさんでくれる。
 
目を閉じて、小さく願った。






空のことを
もっともっと幸せに出来ますように。





ふっと息を吹きかけると、空が嬉しそうに手を叩く。



「おめでとう」

『ありがとう、空』