『すごい……ありがとう。嬉しい』

「雫が喜んでくれたら、それでいいよ」



そんなこと言われたら、嬉しくて泣きそう。

テーブルを挟んで向かい合って座ると、空が箸を渡してくれた。


「じゃ、食べよっか。味の保証はできないけど〜」

『絶対おいしいよ』



一口食べた瞬間、ほんのり甘い卵焼きの味に笑顔がこぼれる。

『…すごい、甘くて美味しい。ほんとだよ。』

「よかったぁ。ちょっと焦がしたけどな」

『焦げても好き』

「それは嘘だろ」

『ふふ……ほんとだよ』


そんな他愛もない会話すら、今日だけは特別に聞こえる。