二人の呼吸が徐々に重なり合い、部屋の静けさに小さな音だけが溶け込む。


雫は空の胸に顔をうずめ、

耳元で囁かれる「好きだよ」の声に、
思わず涙が浮かぶ。



幸福と緊張、少しの恥ずかしさが混ざり合い、体のすみずみまで温かさが広がる。



「ここから先も無理しなくていいよ」


『ううん、私がしたいの』


空の唇が額に触れ、
優しく抱きしめられる瞬間、
雫は初めて自分のすべてを空に委ねた。


ゆっくりと時間をかけて、二人は互いの存在を確かめ合う。


雫の小さな声、
空の温かな吐息、
触れ合う体の温度。



それだけで、世界が完璧に感じられた。


「雫…大事にするから」

『私も、空のこと…一生大事にする』


初めての経験は、ぎこちなくも丁寧で、互いを思いやる時間だった。



雫は胸の奥に小さな幸福をぎゅっと抱え、そっと目を閉じる。


夜が更ける中、
二人は静かに眠りについた。



布団の中で並んで眠ると、雫は小さく微笑む。


空がそばにいるだけで、世界がこんなにも優しく温かいことに気づく。



「ずっと、このまま…」

心の中で呟きながら、雫は初めての夜の余韻に包まれて眠りについた。




幸福で、愛おしくて、そして少し切ない、この瞬間を、胸に刻みながら。