海は凪いでいた。

コンクリートの防波堤に自転車を止めて、制服のスカートが汚れるのもお構いなしに砂浜に腰かけた。

そして三ツ矢サイダーの緑色のキャップを開けて一気に口に流し込む。

喉の奥の方が炭酸のせいでびりびりしたけどかまわない。

三ツ矢サイダーを砂浜においてごろりと寝転がると、目が覚めるほど真っ青な空に入道雲、そして砂浜でゆらゆら揺れる三ツ矢サイダーの複雑な影。

砂浜の砂を手ですくうと、指の隙間からあっけなくさらさらとこぼれ落ちて行ってしまった。