「うあぁぁ…っ」

荷物を放り投げるようにしてベッドにダイブすると、シーツで眠っていたほこりがガラス窓からの光を反射してきらめいた。

「何で、なんで銀賞なの…」

壊れてしまいそうなほど強く握りしめていたスマホを機械的に動かす。

【今年は銀賞でしたが、悔いのない演奏ができたと思います】


「金賞じゃないと、意味ないの…」


心の底から漏れだした必死の叫びは、(かす)れて裏返って、誰にも届くことはなかった。

涙はぬぐっても拭ってもあふれ出てくる。カッターシャツで強く目元を抑えて無理やり涙を止める。

わたしはのろのろと立ち上がって、スクールバッグと、自転車と家の鍵をつかんで家を出た。