「やっと出てきた~。はい、ピノ」
髪をタオルで拭きながら風花の部屋に入ると、ピノが飛んできた。
「物を投げてはいけませんよー。」
何とかキャッチしたピノの薄いビニール膜を破ると、彼女も雪見だいふくの蓋をぺりぺりと開け始める。
「「いただきまーす‼」」
またラグに寝転がり、青いピックでピノをさして口に運ぶ。
「お風呂上がりのアイスが一番おいしいよねー。」
雪見だいふくで口をパンパンにしながら、風花が幸せそうに微笑む。
「わかる。あ、雪見だいふくひとつちょうだい」
ピノの青いピックで雪見だいふくを刺そうとすると、風花は雪見だいふくの入れ物を高く持ち上げた。
「ピノ3つくれるならいいよ」
「えー…まあいっか。はい」
雪見だいふくが入っていたところに、ピノを3つ入れると、風花がピンク色のピックに雪見だいふくを刺して私の顔の前に突き出した。
「ありがとー。」
ピックを受け取って、雪見だいふくを口に含む。
現在時刻、23時57分。プチ贅沢の毎週木曜日は、まもなく終わろうとしていた。
でも、プチ贅沢でスタバを飲んでご飯を食べ、コンビニでお菓子を買って食べて、お風呂上がりにアイスを食べた思い出は永遠に消えないことを、私たちはわかっていた。
Fin.



