お嬢様は溺愛に溺れている

いやいやいやちょっとまってってばぁ……。


というより、なんでこんな向かい合わせにしかも至近距離で話さないといけないの……。


これでも、あなたは私に仕える側だよね……?


「早く答えろ」


ひぃぃぃ……。怖いよ……。


そんなことどうでもよくない……?ただのフリなんだからさ……!


もうここは嘘を貫くしかない……!なんか嘘って知ったらなおさら怖い気もするし、なんてたってなんか悔しいし!


「えっと……まぁ…?」


するとなぜか深く息を吐いた。


「いい加減にしてくれ……」


なんか今ちょっと口悪かったの気のせいですかね……?


気づけば背中に回った力強い手。


黒のベスト……いやまっって……!だ、抱きしめられてる……?


「ちょ、ちょっと……なにして……」


ありえないんですが……!


私たち、一応仕える側とお世話してもらう側の立場で、ただそれが彼氏役ということで……あなたはただのサポーターさんに過ぎないんだけどっ……!


私の家には使用人さんという立場とメイド、執事という立場とサポーターさんという立場があって、ランク付けすると、サポーターさんが一番上の存在で私たちの身の回りのお世話をしてくれるということでして……。


それがちょっと異例で彼氏役ってだけで何にも私たちの間にはありませんよね……?