お嬢様は溺愛に溺れている

「きゃー蓮樹先輩っ!」


「今日もかっこいい!」


「目の保養~!」


「「「ああ~」」」


廊下から女の子たちの黄色い声が飛んでくる。


なんだか騒がしい……。


気になって女の子たちの隙間からなんとか背伸びしてみる。


その先には制服を着崩して気だるそうに歩く蓮樹先輩。


すると、何故か私のほうに向かってくる。


「心」


気づけば目の前に蓮樹先輩。


私の手首を掴むなり歩いていく先輩。


え……いやいや、ちょっと待って……。


「あ、あの……!」


女の子たちの視線が非常に痛いんですが……!


「ん?その口喋れなくしてほしい?」


なにを物騒なことを……!


怖い……!


やっぱり、卑怯……!嫌いだもん……!


「離してほしい?」


え……!蓮樹先輩にしては優しい……!


うんうんと必死で首を縦に振る。