お嬢様は溺愛に溺れている

柊くん。


柊くんと私は幼馴染。そして――…


私達の出会いは数年前――。


この学校の幼稚舎だった。


入園したてのころだった。昔は人見知りが激しく、誰とも話せず、話しかけられもせず。


特に私の家が関係しているのか周りからは有名企業の娘というだけで避けられていた。


給食をこぼしてもみんなには怒るのに私には怒らない先生。


そんな中に柊くんはいつも一人でいた。お絵描きの時間も外遊びの時間も。


だから私は一人なのは私だけじゃないんだって安心したのを今でもよく覚えている。


いつの間にか彼のことを目で追うようになっていた。


運動会練習の時玉入れのボールを重たそうに運ぶ女の子に近づいて代わりに持ってあげたり、先生が困っていたら無言だけれど手伝っていたり。


そんな彼を見ているうち、幼ながらに初めて『恋』というものに出会った。


恋に落ちるのに、理由もきっかけなんてものもなかった。


ただ、本能が『恋』というものだっただけ。


そして偶然か、必然か、はたまた運命か。


私たちは年に一度の社交パーティーで初めての会話という名の挨拶を交わした。


当然柊くんのパパママもいたし、私のパパとママもいた。


だからだろうか、


『すきです、わたしのはつこい……!』


幼いプリンセスはそう言った。


『まぁまぁまあ……!初恋ですって!可愛いわねぇ~』


『はっはっはっ~!そうだなぁ~心ちゃんがうちの息子を、そうかそうか~』


そのとき、みんなにこにこしながら私を見ていた。


だから、馬鹿にされてるんだって少し頬を膨らませた。


しかし、幼いプリンセスの目にプリンスの瞳は入っていなかった。


そう、知らなかったのだ。プリンセスはプリンスから向けられる甘い瞳とその言葉を――。


『好きだ――絶対に攫いに行くから……」


初恋の人。