お嬢様は溺愛に溺れている

「よくもまぁ、ケンカ吹っ掛けてきたやつと仲良くできるのな」


??ケンカはしてないけど……。


若菜ちゃん、ああ見えてかわいいしっ!!


「ねぇ、理央ちゃん!」


「ん?なぁに~?」


「理央ちゃんは好きな人、とかいないの?」


そう。理央ちゃんはあんまり好きな人の話をしない。


「え~?いないわよぉ~そりゃあね、蓮樹センパイみたいな超ハイスペック男がいたら喜んで付き合うけど、そうそういないしぃ~」


超、ハイスペック…男……?


……・。・。・、どこが??


「あ!そういえば、王子様探しなんだけど、なかなか見つからないのよねぇ。ザ・プリンス、絶対ゲとってくるからね~」


王子様探し……。


そんなこと、確かに言ってたかも……。


王子様……かぁ。と、いうより理央ちゃんも自分の運命の人探しすればいいのに、なんで私にそんなにしてくれるんだろう……?


「理央ちゃんの運命の人探しはいいの?」


「何言ってんの~今は、心優先~!だってぇ~?そのほうが燃えるもの~キャー!!」


??一人で盛り上がる理央ちゃんの話にはついていけない……。


――「おい、席着け~ホームルーム始めるぞ~」


「「「はぁ~い」」」


みんなは気だるげにぞろぞろと席に戻っていく。


「よし!じゃあ、みんな!ビッグニュースだ!」


いつも気合ゼロパーセントの先生が珍しく声を張り上げたのでみんなはちょっと興奮気味。


「転校生を紹介する!」


「え~男子かな、女子~?」


「イケメンこい~!」


「てか、転校生って珍しくない?」


みんなも転校生に興味津々のようで教室はざわめきを増した。


「入ってこい!」


どうやら廊下で待機させられているようで教室のドアがガラガラと開いた。


そこにいたのは若菜ちゃん。


若菜ちゃんは少し緊張しているのかうつむき加減だ。


そして、次に入ってきたのは――……。


派手な金髪の男の子。


その次は赤色の髪の男の子。


そしてその次は茶色っぽいふんわりとしたウェーブ髪の男の子。


そしてそしてその次は綺麗なブルーブラックで前髪が少し長めのミステリアスな男の子。


そして―――クールな切れ目に黒髪、少し着崩した制服、気だるげに歩くその姿。


……柊くんだ―――。


「「「きゃああああーー!!」」」


女の子たちは大興奮。


でも待って、まず状況を確認しよう。


まず若菜ちゃんでしょ。


そして、男の子四人でしょ。


そしてそして、――柊くん。


これはなにかの夢の中……?


「はいはい、静かに!じゃあ、一人ずつ自己紹介だ」


先生は切り替えるように手をパンパンとたたいた。


「えっと……二杁若菜です。よろしくお願いします…」


若菜ちゃんは少し震えながらも頑張って言っているのが伝わった。


若菜ちゃんの自己紹介は終わったのにいつまでたっても隣の男の子たちは言葉を発しない。


「おーい、瀬川たちー」


それを見かねた先生は男の子たちに声をかけた。


「……俺たち、別に名乗るほどじゃないんで」


………?名乗るほどじゃない……?


……・、・、・、かっこいいっ!!


ドラマとかでよく見るけど、なんかの俳優さんなのかな…?よく見ると、みんなイケメンさんだし!


そして、今気づいたけど、みんな制服じゃない……?黒のスーツに、よく見ると耳にイヤモニをつけている。


「……そ、そうか…じゃあ、みんな席は……」


その男の子があまりの迫力でいうものだからさすがの先生も怖気づいたらしく……。


「はいはーい!私の近くがいいと思いますー!」


「かっこいいし、イケメン~!」


と、いうか転校生、多すぎない??


そして全員このクラスにくるのはなんでなんだろう。


若菜ちゃんは別として!


「……心様の近くで」


「そうだな、じゃあちょうど愛川の周りの席は空いてるからそこで」


ん?幻聴……?今、愛川、とか聞こえたような……。


五人は黙りながらこちらに近づいてくる。


ぼうっと一点を見つめていると机の周りに五人の男の子たち……。


「初めまして、心様。本日より心様の専属SPをさせていただく者です。どうぞ、よろしくお願いいたします」


茶色のふんわりとした髪の男の子が丁寧にお辞儀をする。


???……?


見上げるとにこりと笑う五人の男の子……そして、柊くん……。


???


「あの……どういう…?」


分からない…わからなすぎる……意味が分からない…。


専属SP?心様…?わからない……私、専属SPなんて頼んでないよね…?


「私達の命に代えてもお守りいたしますので、ご安心を」


???別の意味で安心できない……。


「あの……どういうことですか…私、専属SPさんなんて頼んだ覚えないんですけど……」


???


「それは失礼いたしました。心様のお父様よりご依頼を受けてやっておりました」


パパぁ!?よくわからないけど、パパならやりかねない!


だっていっつもパンにぬるジャムがはみ出したくらいですごく心配されるんだもん。


『そうか、そうだよな。心はまだ子供。何もできなくて当たり前だ』


いやいや、できることのほうが多いし!


『心は天然だし、可愛いし、鈍感だし、素直だし、こんなの連れ去られること間違いなしだ!』


いやいやいや、そんな怪しい人についていくほどおバカじゃないし!


とにかく、パパに言っとかなきゃ!


SPなんていらないよ!って……!!


「そ、そうなんだ…ごめんね、私のパパちょっと変わってて……」


「いえ、お嬢様のSPをさせていただけるだなんて光栄です」


そういってにこっと笑う金髪の男の子。


ちょっと見た目から怖いイメージだったけど、優しいんだなぁ……。


それにみんな近くで見ると更にイケメン、というか……かっこいいなぁ……!


「よし、じゃあ転校生もきたことだし、よりにぎやかになったなぁ……!」


先生がはっはっはっと笑った。


なんだか、ちょっといろいろと急展開のようです……。(げっそり……)