お嬢様は溺愛に溺れている

「ね、ねぇ、理央ちゃん」


「うん?なぁに?」


なぁにって……。話聞いてよ……!


「ねぇ、心って蓮樹センパイのこと好きなの?」


そりゃ、好きではあるけど……。でも!いじわるなんだよ…!


「好きだけど……」


何故か理央ちゃんはふか~く溜息を吐いた。


「当分は無理そうね」


なにが無理なの!


「恋愛、の意味でね」


レンアイ……?蓮樹先輩が……?


「好きなの?」


無い!蓮樹先輩なんて意地悪だし、好きじゃない!


だって、私はもっと王子様みたいに優しい人と結婚するんだもんねー!


「ま、時間の問題ね。じゃあ、心。また明日ぁ~♪」


それだけ言うとにこっと笑いながらひらひらと手を振ったと思えば……もういない。


昔から動きが速すぎて見えない……。


完全にJK気分で鼻歌を歌う理央ちゃんが想像できるよ……。


はぁ……。


どっかに王子様、いないかなぁ……!