Existence *

不安そうにする香恋の頭を撫ぜ、心配する香恋の顔を覗き込んだ。


「大丈夫。なんもないよ。もう遅いし、香恋寝てきな」

「ううん」

「香恋?」

「みんな泣いてる」


香恋までにも伝わるくらい、沈んだ空気になってしまった事に申し訳なくなってしまった。

いつも元気な香恋をこんな気持ちにさせてしまった事に、俺はため息を吐くしか出来なかった。

困って寂しそうな顔をする香恋は俯いて俺の胸に顔をくっつける。


「香恋、俺と寝よっか」

「…翔くんと?」

「うん」

「一緒に?」

「そう、一緒に」

「うん、寝る」


顔を上げて微笑む香恋に俺も微笑む。


「翔さん、俺が寝かすからいいっすよ」


諒也が隣で顔を顰めて首を振る。

だけど。


「翔くんがいい」


その言葉で諒也は顔を顰めたまま深いため息を吐き出した。


「大丈夫、大丈夫。今日だけ寝かせてくっから」


香恋が持ってきてくれたアイスコーヒーを口に含み、そして香恋に手を引っ張られながら行く途中、目を赤くした葵ちゃんに微笑んで、


「寝たら降りて来るわ」


そう言って葵ちゃんの背中を擦って、俺は香恋と寝室へと向かった。


「見て、翔くん」


部屋に入って、香恋は布団に寝かせているウサギを抱きかかえて俺に見せる。


「おぉ、いつも一緒に寝てんの?」

「うん!こっちがママでこっちがパパ!」

「俺どうしよっかなー…」

「翔くんは香恋のところだよ」

「香恋の布団で寝ていいの?」

「うん、一緒に寝る」


嬉しそうに布団に入る香恋の隣で、俺は目を瞑って小さな香恋の身体を抱きしめた。


「翔くん、眠い?」

「うん、眠い」


ほんとに眠かった。

正直言って2時間しか寝てないから普通に眠かった。

むしろこんな所で目を瞑ってたらマジで寝落ちして朝をむかえそうな勢いだった。