Existence *

結局その日、マンションに帰ったのは深夜2時を過ぎていた。


「あー…疲れた」


思わず吐き出し、ソファーに倒れ込む。

騒ぎまくったあの空間を久しぶりに味わった所為かやけに疲れる。

子供たちは全員、2階で就寝した後も大人たちだけでほぼみんな帰宅せずに騒いでいた。


そんなうな垂れる俺に美咲はしゃがみ込んで見つめてきた。


「大丈夫?」

「って言うか、お前は疲れてねぇのかよ。朝の9時からだぞ?さすがに疲れるわ」

「楽しかったからそこまで疲れてないかも」


ニコッと笑う美咲の頬に手を滑らし、頬を包み込む。


「すげぇね、美咲は。気疲れすんだろ。ごめんな、余計な事に付き合わせて」


申し訳なく、その頬に触れていた手を頭に移動し、そっと撫ぜた。


「余計なことじゃないよ。ほんとに楽しかった」

「そう。…ところで、アイツらに何言われてた?」

「えー…なんだったっけ」

「色々言われてただろ」

「あー…」


微妙に呟いた美咲が苦笑いをし、首を捻った。

ほぼ俺は社長達の席で仕事の話とか経営の話とかそんな話ばかりしていた所為で、美咲たちの席には一度も歩み寄ってはいない。

賑やかにワイワイ騒がしい声が美咲たちの方から聞こえてきてたのは気になってたけど…


「なに?そんな俺に言えねぇ事?」

「いや、そう言う事じゃないけど…」

「なに?言えよ」

「……」

「美咲」


困った様に笑みを浮かべ戸惑う美咲の頬に手を伸ばし、その頬を軽く抓った。


「もぉ、痛いよ」


その頬に手を伸ばし、俺の手に触れる。


「言ったら離すわ」

「意地悪」

「言わねぇお前が意地悪だけどな」

「うーん…翔が、…翔が私に対しての愛が重いとか、」

「……」

「私の事が好きすぎて、お酒に溺れてたとか…」

「……」

「翔の頭の中は私しか居ないとか、」

「……」

「そんな、感じ…」


困ったような恥ずかしそうに言う美咲をジッと見つめて俺は抓っていた頬を離した。

その頬を擦る美咲は俺から視線を外す。


って、アイツら何言ってんの?って思ったけど。


「…そうだけど、悪いかよ」


そう言って俺は頬を緩め、美咲の後頭部に手を添えて、顔を引き寄せる。

そして必然的に重なり合う唇を何度も奪った。