Existence *

「お前らなに?父ちゃんと母ちゃんにどんな教育受けてんだよ。ワガママすぎんだろ。美咲はお世辞に決まってんだろうが」

「教育ってなに?」

「ねぇ、お世辞ってなに?」

「ワガママって?」

「ねぇ、なに?」


こいつらの声が反響していく。

俺も子供たち相手に何を言ってんだろうと思いちょっとそこは反省する。


「とりあえずアイス食いたい奴」


めんどくさい話から切り替える俺に「はーい!」と子供たちの手があがる。

アイスを買ってご機嫌になる子供達が飲食スペースに座った時、「…大丈夫?」美咲の不安そうな声が届く。


「美咲こそ」

「私は大丈夫だよ。楽しいから」

「楽しいってか?どこが?こいつらの我儘に振り回されてるだけだろうが。今日のこいつらはいつも以上に我儘すぎる」

「そうなの?」

「きっと美咲もいっからはしゃいでんだろうけど、それにしてもヒドイ」

「でも皆んないい子達じゃん」

「そうかねぇ…」


嬉しそうにする美咲も美咲で、疲れてんのに大丈夫と言うのは相変わらず変わってない。

無意識に取り出したタバコを咥えた時、「あぁ…」と呟き、敷地内が禁煙だった事にため息を吐き出し箱にしまった。


「出入り口に喫煙スペースあったよ?行ってくる?」

「いや、いいわ。とにかくお前らさぁ、それ食ったら帰んぞ」


楽しそうに食べている子供達に視線を向けると、案の定「えーっ!」と声がハモリだす。


「だってまだライオンみてない!」

「萌もペンギン見てない!」

「ペンギンは水族館で見ただろうが」

「ここでも見るの!」

「杏もペンギン見たい」

「もう17時だぞ。お前らのパパとママが心配する」


腕時計に視線を落とし、俺はため息混じりで吐き出す。


「心配してない。翔くんなら安心って言ってたから何時でもいいって言ってた」

「俺もママに言われた」


ワーワー喚くコイツらに隣の美咲が苦笑いする。