Existence *

「ね、ねぇ…大丈夫?これで行けるの?ちゃんと帰って来れるの?」


不安そうな美咲の声に俺は深くため息を吐き出す。


「行くしかねぇだろ。こいつら皆ワガママに育ってっから言う事聞かねぇし」

「えー…大丈夫かな」

「言っとくけど、美咲が留学してる間から俺、こいつら見てっから」

「なんか、凄いね…」


苦笑いで呟く美咲に俺も苦笑いになる。


「しかも毎年、一人づつ増えてくんの」

「それは大変…じゃあ日本に帰って来た時はまた増えてるかもだよねー」

「そんな俺も見れねぇよ。…俺らの子供も居るだろうし」

「え?」

「…え?」


戸惑うように呟かれた美咲の声に、俺もオウム返しをする。

あたふたする美咲の目の泳ぎに俺は頬を緩めた。


「可愛いね、美咲ちゃん…何想像してたん?」

「もぉ、やめてよ…」


困った様に頬を緩める美咲に俺も頬を緩ませる。


「ねぇ、翔くん。みぃちゃんのどこが好きなの?」

「香恋もみぃちゃんすきーっ、」


萌の後に香恋が叫ぶ。


「えー…みぃちゃんの?そうだなぁ…全部。愛してっから全部な」

「キャーっ!翔くんエッチ」

「おい、お前。そんな言葉どこで覚えた?男はな、みんなエロイ生き物なんだよ。そうお前らの父ちゃんと母ちゃんに言っとけ」

「わかったー!男はエロイって言っとく」

「え、ちょっと翔。何言ってんの?そんな事、この子たちに教えちゃダメだよ」


美咲が取り乱したように言葉を吐き出す。


「ねぇ、みぃちゃん、エロいって何?」


凌空が美咲に首を傾げて聞く。


「覚えなくていいから」

「じゃあパパに聞いてみる」

「え、あ、そんな事きかなくていいよ。…もぉ、翔もそんな事吹き込まないでよ」


戸惑う美咲にクスリと笑う。


「お前、そんなんじゃ今日一日もたねぇぞ。まだ始まったばかりなのによ、」

「そ、そうだけど…」

「はいはい、みんな電車に乗るぞ。騒ぐなよ」

「はーい!」

「うん!」


この先を不安がる美咲に笑みを零し、その手を掴んで足を進める。