Existence *

「さっさと行って、さっさと帰んぞ」


7人のガキ達と美咲に視線を向け、俺は凌空の手を引いた。

その後ろをぞろぞろと着いて来る。

美咲の手には香恋と愛優。


「ねぇ、どうやって行くの?」

「電車」


見上げて来る凌空に言葉を返すと、子供たちの声が嬉しそうに響き渡る。


「よっしゃー電車!」


…しか、こんな大人数でいけるわけねぇだろ。

駅に着きハシャグ子供たちに周りの視線が飛び交うのが分かる。

大変そうって言う視線を浴びながら改札に向かう時、


「ねぇ翔くん、萌、なんか飲みたい」

「香恋も飲みたい」

「俺も喉乾いた」

「僕も」


次々と聞こえるその声に俺は顔を顰めた。


「え?お前ら水筒持って来てねぇのかよ。遠足っつったら水筒持ってくんだろ」

「だってパパが持って行かなくていいって言ったから」

「なんで?」

「荷物になるって。翔くんが買ってくれるからって」


凌空が見上げて俺に言う。

つか蒼真さん何言ってんの?


「杏も言われた。ママがそんなのいらないって」

「はぁ?おい、海斗。金は?」

「持ってきてない。翔くんが持ってるって言ってた」

「は?意味分かんね。おい、香恋。お前そのリュックの中何が入ってんだよ、水筒入れてきてんのか?」

「んっとねぇー…」


美咲の手を離した香恋はしゃがみ込んでリュックの中を見る。

その中を一緒に美咲が覗くと、美咲はクスリと笑った。


「お絵描きセットだね」


そう言って美咲が苦笑いした。


「おい、そんなもんいらねぇだろ。描く場所なんかねぇよ」

「香恋の大切なもの」

「あー…そうだったな」

「香恋のパパも水筒いらないって言った」


そんなみんなの声にただただ美咲は苦笑いで、俺は仕方なく自販機に向かいそれぞれの飲み物を購入する。