Existence *

「美咲ちゃん、どうも初めまして優香です」

「初めまして、美咲です」

「あ、私の事わかる?」

「あ、はい。名前は伺ってます」

「え、そうなの?翔、私の事なんて言ってた?」

「あー…、ずっと喋って、煩いって、」


苦笑いに口を開いた美咲に、俺は思わず美咲を見る。


「お前、それは言うなよ」

「ちょっとアンタ、何言ってんの?お姉様に失礼でしょ?」

「ホントの事言ってるだけで何が悪い?」

「美咲ちゃん、大丈夫?こんな男…」

「あ、はい…」


優香に圧倒されて苦笑いする美咲に俺はため息を吐き出した。


「それにしても噂通りの美人さん。翔には勿体ないわ」

「はいはい、そーっすね。ところで何でお前が居んだよ」

「だから瀬那と杏も連れて行ってもらおうと思って」

「そのために帰って来たのかよ」

「だってゴールデンウィークだもん。ごめんね、美咲ちゃん…でも大人数の方が楽しいから」

「いや、普通に大人数の方が困るから」

「ねぇ翔くん、早くお魚見に行こうよ」

「香恋、そのあと動物園行きたい」

「萌もペンギン見たい」

「僕、ライオンみる」

「ねぇ、クジラいるの?」

「サメとキリン見たいっ、」


子供たちの声がハモリだす。

そんな声に交じってクスクスと笑う蓮斗の声が耳を掠めた。


「お前も行くのかよ」


俺は笑ってる蓮斗に声を掛ける。


「行くわけねぇだろ。仕事行くっつーの」

「ほんっと使えねぇな、お前ら」

「だって皆んな翔と行きたいって言ってたよ?ねぇ、みんな?」

「うん!」


優香の言葉に周りの子供達が笑顔で答える。


「それ言わせてるだけだろうが」

「また帰る時間言って。あ、蒼真さんも諒也もよろしくーっつってたわ」

「何がよろしくだよ」


蓮斗と優香が帰って行ったあと、俺は深いため息を吐き出す。

美咲はしゃがみ込んで、子供たちに囲まれ、楽しそうに話をしている。