Existence *

「…一緒に来てほしい」

「……」

「5年前、美咲が旅立った時は待てたけど、今は俺が帰るまで待てない」

「……」

「俺に、着いてきてほしい…」

「…え、」


戸惑う美咲からの口から簡単に吐き出されると思ってた“うん“と言う言葉が出ては来ない。


…―――その時の状況にならなきゃ分かんない。


まさに美咲が言ったその状況が今。

首を捻って考えてる美咲の指に光る指輪を見つめて、更に握りしめた。


「…美咲」

「……」

「一緒に着いてきてほしい」

「……」

「…俺、英語話せないから」


そう言った俺に美咲の頬が緩む。

緩んで頬を柔らかくした美咲はクスリと笑った。


「私、その為に行くの?」

「うん」


そう言って美咲を抱きしめると、クスクス笑い声が聞こえる。


「うんって、」

「まぁ、それもあるけど。一番の理由は美咲と一緒に居たい」

「……」

「もう離れたくねぇの」


離れたくないと思う気持ちはきっと美咲より強い。

ここまでなるほど傍にいてほしいと思える存在だった。


美咲の腕が俺の背中へと回る。


「離れたくないのは私もだよ?」

「……」

「…私も一緒に行きたい」

「本気でそう思ってる?」

「翔だって本気で言ってきたんじゃないの?」

「俺は本気で言ってる」

「私もだよ」

「だって、迷ってたから」

「迷う?」

「すぐに返事返さなかったから」

「だって、そんなのビックリするじゃん。驚いて言葉が出なかっただけ」

「そっか。ごめん、驚かせて」


クスリと笑った俺は美咲の身体を離す。

かち合った瞳が絡まり合うように唇が重なり合う。


キスを交わし、美咲の身体をソファーに倒し、覆いかぶさるようにキスをした。