Existence *

「つか何?俺ってそんな雰囲気だしてんの?」

「だって、」

「何でさ、また俺の傍に引っ張ってきのにわざわざここに来てそんな話ししなきゃなんねぇんだよ」

「じゃ、何?」

「初めてここに来た時さ、この場所が好きって言ったの覚えてる?」

「うん、覚えてるよ。だから私もいつの間にかここが好きになってた」

「…そっか」


そう思ってくれると嬉しい。

たかが海でも、俺と同じ場所が好きになってくれたことが嬉しい。


初めて俺がここに訪れてから何年が経つんだろうか。

まだ16歳だった俺。

あれからずっとここが愛おしい。


「それが、…なに?」

「別に何処でも良かったんだけどな。でも、やっぱここが一番落ち着ける場所っつーか…」

「うん」

「とりあえず、はい」


美咲に見つからないようにと持ってきた長細い箱。

俺が差し出す物に美咲は少しだけ目を見開き、戸惑うように俺を見た。


「…え、なに?」

「おめでと。…誕生日だろ、今日」


首を傾げた美咲がハッとする。


「まさか忘れてたとか?自分の誕生日」

「あっ、」


そんな事ある?と思いながら俺はクスクス笑みを漏らす。


「さすが美咲」

「どー言う意味?翔だって忘れてたじゃん」

「別に忘れてねぇし」

「でも、これっ、」

「気に入るかどうかは分かんねぇけど」

「開けてい?」

「あぁ」


白のリボンをスッと取る。

そして箱を開け、その中に入っている時計を美咲は呆然と見つめた。