Existence *

…――――

月曜日。

美咲にこの日は空けておくようにと言った日。

早く仕事を終わらせ、帰宅する。


「ただいま」


玄関のドアを開け、リビングに足を進めようとした時、


「おかえりっ、」


美咲が慌てて駆け寄る姿に笑みを漏らせる。


「ちょっとシャワー浴びてい?」

「うん」


頷きながら持っていた鞄とスーツの上着を美咲は受け取ると、そのまま俺はシャワーを浴びる。

浴び終えた後、俺はすぐに着替えて鍵を手にした。


「美咲、いい?」

「いいけど、どこ行くの?」

「秘密」


不思議がってる美咲に頬を緩め、俺は駐車場まで足を進める。

その俺の後を着いて来る美咲は、車に乗った瞬間、俺を見つめた。


「うん?」

「どこ行くの?」

「着けば分かる」


ふーん…っと言った感じで美咲は視線を窓の外に向け、走っていく街並みにずっと視線を送っていた。

暫く車を走らせて、徐々に見えてくる見覚えのある街並。

美咲は覚えているだろうか。


「なんでここ?」


車を停めて、美咲は不思議そうに辺りを見渡して俺を見た。


「ご飯食べっから」

「ご飯なら近くでいいのに」

「それじゃあ意味がねぇだろ」


普段ならそれでいいにしろ、今日は違う。

車から降りると、まだ座っている美咲を助手席から覗き込む。

その俺の視線に気づいた美咲は、同じ様に車から降りた。


「相変わらず綺麗な風景だね。あの頃と変わってない」


美咲は嬉しそうに頬を緩め、空を仰いだ後、街並みを見渡していた。


「覚えてた?」

「忘れるわけないよ」

「そっか」

「…なんか怖い。どうして?」

「は?怖いって何が?」

「そう、優しくされると怖い。別れ話…とか?」


別れ話?って、何を言い出すんだろうか。

不思議そうにしながらも真剣に言ってくる美咲に俺はため息を吐き出す。