Existence *

「だって監視するって言ったじゃん。翔の身体の事を思ってだよ」


そう言いながら美咲はベランダに出て、俺に視線を向ける。


「まぁ、俺は美咲が居れば身体を壊す問題もねぇけど。だから美咲が必要」


だから一緒に居たいし、俺に着いてきてほしい。

5年前みたいに…

あの時と同じ様に俺は待つことは出来ない。


「私が必要?」

「あぁ。じゃなきゃ、今度は死ぬかもって言っただろ」

「それは困る」

「俺も困る」

「私も翔が必要…かな」

「かな。って言うなよ」


顔を顰めながらタバコを咥え、美咲の笑い声が耳を掠め、美咲の頭が俺の肩に寄り掛かった。

ここから見渡せる街並みを一緒に見渡していると、


「ねぇ、翔?」


不意に聞こえた美咲の声に視線を落とす。


「うん?」

「何か欲しい物ある?」


俺の肩から頭を離し、その美咲の視線が俺と絡まり合う。

そんな美咲から頬を緩ませ、俺は空き缶にタバコの灰を落とした。


「欲しいもの?」

「うん」

「なんで?」

「誕生日、何もあげてない。今年じゃなくても今まで何もあげてないなって、思って。何かあげようかなーって思っても翔の欲しいものがわからない」


つか、そんな事、考えてくれてたんだと思うと笑みが零れる。

そう思ってくれてるだけで十分。


「別になんもいらねぇよ」

「でも貰ってばかりも悪いなー…なんて思ったりも」

「だからいらねぇってば。俺、正直物はあんま欲しくねぇもん」

「じゃあ何だったら?」

「んー…つか、もうちょい待って」


欲しいものはある。

あるけど今は言えない。


「待ってって、何が?」

「いや、とりあえず今は待て。そのうち言うから」

「…うん」


納得してない美咲の頭を抱える。

もう少しだけ、待って。

あと少しだけ。

そしたら全部話すから。


俺が欲しいものを――…