Existence *

俺の言葉で香恋の顔があがる。

そしてその顔が笑顔になった。


「うん!」


きゃはっと笑う香恋は俺からすんなりと諒也の手におさまる。


「なんだ、お前は」


呆れた様に呟く諒也に俺は笑い、思い出したかのように俺は口を開いた。


「あぁ、そうだ」

「香恋、ゆーくんって奴が好きなんだと」

「マジで言ってんのか、香恋」


ちょっと驚く諒也は香恋を覗き込むと、「ゆーくん」と可愛い香恋の口から名前が吐き出される。


「お前、変な男に引っかかんなよ」

「ほんっと親馬鹿だよ」

「うるせーよ」

「じゃーね、香恋ちゃん。またね」


クスクス笑ってる美咲は香恋に手を振り、美咲が香恋の頭をそっと撫ぜる。

それに答えるかのように香恋が手を振った。


「またな、香恋」

「じゃあ、また来っから」


そう言った諒也がドアを開ける。

だけど直ぐに閉められ、振り返った。


「あー…忘れてた」


諒也がポケットから何かを取り出し、それを美咲に渡す。


「ま、考えれば。…じゃーな」


諒也が帰った後、さっき渡された美咲の手元にある紙に視線を移す。


「なにそれ」


首を傾げ、それを二つ折りの紙を見た美咲はハッとして俺に視線を向けた。


「諒ちゃんに言ってたんだ」

「何を?」

「働く所ないかなーって…」

「はぁ!?」


思わず俺は声を上げる。

いや、ちょっと待って。

そこまで話進めてたって事?


そう思うとこうやって、俺ものんびりしてる時間もねぇなって思った。