Existence *

「お前も香恋みたいに好き好き言っていいぞ」

「もー…何言ってんの?」

「みぃちゃん、可愛いね」


困ってる美咲に香恋が呟いて蔓延の笑みを見せる。


「香恋。お前も可愛いぞ」

「きゃはっ、」


可愛い声を出し、香恋が更に俺にくっつき頬を寄せて来る。


「あの、」


暫くして小さく呟かれる美咲の声。

視線を向けると美咲は表情を崩し俺達を見ていた。


「うん?」

「私の事、忘れてない?」


その言葉で俺の顔から笑みが零れる。


「あー…あれか?ヤキモチ焼いてんのか?」

「別に」


素っ気なく返された言葉に更に笑みが零れる。


「香恋。みぃちゃん怒ってるぞ?」

「みぃちゃん、怒ってるの?」


悲しそうにする香恋に美咲は笑みを作って首を振る。


「香恋ちゃんさ、好きな男の子いるの?」

「は?いねぇだろ」


美咲の言葉で俺は素っ気なくも素早く返答する。

だけど香恋の顔がさっきよりもニコニコした。


「ゆぅくん。ゆぅくん」

「は?香恋、マジでいんの?」

「うん!」

「おい、それはダメだろ」

「何でダメなの?」


美咲が不思議そうに首を傾げ、俺に視線を送る。


「父親、諒也だぞ。アイツが許す訳ねぇだろ」

「…だね」


少し間を置いて呟く美咲も同じことを思ったに違いない。

苦笑いする美咲は香恋の頭をスッと撫ぜた。