Existence *

あれから一週間が経った。

美咲は大概ここのマンションに居るけど、相変わらずテーブルには職安の資料がある。


「なぁ、美咲?」


ソファーで膝を抱えて英語の本を読んでいる美咲に声を掛ける。


「うん?」


本から視線を俺に向けた美咲は俺を見るなり不思議そうに首を傾げた。


「あのさ、仕事探しどーなってんの?」

「え、なに?」

「毎日そんな事してっからどうなったかなーって」

「え、早く見つけろって事?」

「違う。むしろ俺はどうでもいいと思ってるし、働かなくてもいいと思ってっから」

「ほんとそれ、ずっと言うよね」


笑みを浮かべた美咲は本を閉じ、隣に座った俺に更にクスクス笑った。

出来れば探してほしくないってのが正直な気持ちで、探して決まってしまえば、また面倒になる。

だから早く俺の事を言わないといけないけど、言いたいのは今じゃない。


「だって別によくね?」

「うーん…こうやって家に居てもねぇ…」

「それも悪くないだろ。働き過ぎたお前はゆっくりするべきだよ」

「何それ。翔に言われたくないけど」


少し顔を顰めた美咲に俺は苦笑いになる。


「好きな事して居るのも悪くないって話し」

「まぁ、今はさぁー…香恋ちゃんのお迎えとか行ってるから楽しいよ」

「ずっとそれでいいんじゃね?」

「よくないでしょ」


笑ったと思えば頬を膨らませる美咲に俺は一息吐き、テーブルの上にある資料を手に取った。

どれも全部、英語に関する資料。


「なぁ…」

「うん?」

「いつ頃って決めてんの?」

「何が?」

「働く時期?」

「うーん…別にそこまで急いでないけど、早くとは思ってる。5月中には決めたいかなーって、」

「そう…」

「え、なに?なんでそんな事、急に聞いて来るの?」

「急ではない。ただ気にはしてた」


ここ最近はずっと気にしてて。

それしか俺の中で考える事はなかった。