Existence *

数日後、仕事帰りに蒼真さんの会社を訪れる。


「…おぉ、お前久しぶり」


奥の部屋に入ってソファーに腰を下ろすと蒼真さんが笑みを浮かべながら顔を出した。


「そうっすね」

「そろそろ来るやろうって思ってたわ。…もうすぐ旅立つんやろ?」


そう言いながら蒼真さんは目の前のソファーに腰を下ろす。


「相変わらず情報は早いっすね、まじで」

「昔からお前の話はどこからともなく耳に入って来るわ」

「ハハっ、どこからともなくって」

「桃華が翔くんホントに行くって言ってたーって言ってたからそろそろ来るやろうって思ってたわ」

「そうなんすね…」

「で?どーすんの?」

「俺のマンション5月末で引き払おうと思って」

「あ、1年って聞いてたからそのままかと思ってたわ」

「そうなんすよ。初めは1年だったけど2年って言われたから、流石に2年分はキツイっす」

「確かにな。で?帰って来た時の為のいい物件探しとけと?」

「いや、」


そう呟いて、目の前に置かれた珈琲を口に含んで俺はタバコを咥えた。

咥えて火を点ける俺に蒼真さんがクスリと笑みを浮かべる。


「お前の不祥事で出て行った女、戻って来たんだろ?」

「その言い方嬉しくねぇっすわ」

「どっちみち俺もな、お前もな、周りから叩かれる男なんだよ」


蒼真さんは面白そうに声に出して笑った。


「一緒にしねぇでくれます?」

「いや、一緒やろ。むしろお前の方が不祥事やけどな」

「不祥事ねぇ…」


その言葉でフッと鼻で笑みを漏らした。

まあ、そう周りに言われても仕方ないと思ってっけど、言われるといい気はしない。