Existence *

「…多分これがキス」

「……」

「俺はちゃんと避けたよ?その後、美咲が見てねぇだけ。そして美咲が好きだとも言った」

「だからアイツとしたキスは――…」

「ちょっと、待って!」

「何?」

「あれはキスじゃないって言うの?」


美咲にとって、そこは重要だったらしい。

そう言う事に関しては何も気にしてねぇと思ってたけど、そうじゃなかったらしい。


「だから聞けよ」

「……」

「アイツとしたのは愛がねぇの。だから感情も何もねぇの。あるのはお前にだけ」


そう言って美咲を抱きしめ抱え込む。

好きって言う感情も会いたいって思う気持ちも、美咲だけにしか湧き上がっては来ない。

ここまで想う相手が居なかったから、これが普通かどうかは分からないが、ここまで美咲にのめり込んでしまっている自分にビックリしている。


「でも、してたじゃん」


小さく呟かれる美咲の声。

てか、そこ重要なのだろうか。

今までずっと俺からではなく、女の方から勝手に…って今更言ったところで…


「つか、どうでもいい」


ほんとに俺にとっちゃどうでも良かった。

今こうやって美咲と居るだけで、他の余計な事は何も考えたくないけど。


「どうでもいいって言わないでよ。…気にするから」

「あのな、」


そこまで言って、息を軽く吐き捨てる。

気にするのは俺も同じ事。

美咲の身体を離し、俺は仰向けになって天井を見上げた。