Existence *

さすがに俺も、そこまでされると表情が曇る。


「何?」


むしろ何でダメなんだよ。

まじで。

瞳を揺るがして、未だに俺の口を塞いでいる美咲の手を俺は振りほどいた。


「おい、」


言葉を吐き捨てると同時に小さく息も吐き捨てる。


「…見たの」

「は?」

「だから見たの!」

「だから何が?」

「翔が…翔が女の人とキスしてる所。…病院で」

「あぁ…」


そのこと?

って、そんなことかよ。

いや、美咲にとったらそんな事じゃないのかもしれない。

俺からじゃないって言ったところで、何の説得もならないだろう。


フーっと息を吐き捨て、仰向けにゴロンと寝転ぶ。

天井を見上げて、また深く息を吐き出した。


「でも翔は避けなかった」

「だから帰ったのか?」

「え?」

「あの日、美咲金持って来ただろ?看護師に渡して帰ってったのって、その所為?」

「…そうだよ。あんなの見て入れるわけないでしょ?」

「そっか。…つかさ、見るなら最後まで見とけよ」

「は?何言ってんの?」


あまりにも俺の言葉がビックリしたのか美咲は身体を起す。

そして俺を見下げる美咲に笑みを漏らし、俺はその目の前にある美咲の後頭部に手を伸ばし、引き寄せた。

その所為で、重なり合う唇。

何度も重ね合わせて、美咲の唇を奪う。

抵抗するのを忘れたかのように美咲の唇も同じように動き、徐々にお互いの舌が絡まり合う。


ずっと触れたかった。

美咲にずっと触れたかった。


仰向けになってる俺はキスを交わしながら態勢を変え、俺が上になる。

暫くそのキスに溺れた頃、俺はゆっくりと唇を離し、美咲を見下ろした。