Existence *

「もういい?」

「あぁ、別にいい」

「…そっか。ねぇ、翔?」

「ん?」

「一つだけ聞いてい?」

「あぁ」

「…癌じゃないよね?」

「癌って、」


思わず美咲の言った言葉に笑う。

まさか一つだけ聞いていいの内容が俺の体調面の話って、どんだけ心配性なんだよ。

むしろ一つだけ聞いていいの内容がそれだった事に、あまり嬉しくもなかった。


他に聞きたいことはねぇのかって。


「だって気になるでしょ?」

「へぇー…まだ気にしてくれてんだ」

「まだって、何?」

「だからまだ俺の事気にしてくれんだなって、思って」

「そりゃ、まぁ…」

「何だ、その微妙な呟き。…つか、癌じゃねぇから」

「そっか。…なら安心した」

「じゃあ、次は俺。美咲が行かなかった理由、俺の所為って何?」


聞きたいことは山ほどある。

美咲が一つだけでも、俺は聞きたいことが沢山ある。

これからどうしたいのだとか、俺の事どう思ってんのだとか。

全ては俺に対しての事なんだけど、それが今は一番聞きたい。


聞かないと、無理やりここに美咲をとどめることが出来なかった。

俺の一緒に居たい理由だけでは美咲とは居れない。


「…美咲?」


だんまりと黙秘をする美咲に問いかける。

仰向けになっていた身体を美咲の方向へと向け、その背中をジッと見つめた。


「さぁ…」


少し間をおいてから零れ落ちた美咲の小さな声。


「つか、さぁ…って何?」


いや、

さぁ…とか言われてもマジで嬉しくねぇんだけど。

むしろ俺と居るって事を躊躇ってるような返事にしか聞こえない。