Existence *

「まじで、どこ行った?」


呟くと同時にため息を吐き出す。

もう一度、美咲の家に行くも電気すらついてはいなかった。

見当もつかず近くの公園、駅、その辺りを探すも美咲はいなかった。


「…美術館」


小さく呟き、頭の中でその場所を浮かべる。

だけどこんな時間じゃ空いてる訳もなく、一旦候補から外すも、とりあえず気になってその場所に向かった。


…いねぇか。

その周りを探したけれど誰もいなくて、車体に背を付けたまま真っ暗闇の空を仰いだ。

ポケットから取り出したタバコに火を点け、スマホの画面を見つめる。

もう24時を過ぎようとする時間。


タバコを咥えたまま、もう一度美咲に電話をする。

だけど繋がる着信音は途切れる事なく鳴り続けた。


一度電話を切り、画面に埋もれる地図。

空港からの自宅までの道のりを見つめて画面をスクロールする。


その道のりの中で行きそうな場所を探すも――…


「…え、もしかして…」


タバコを咥えたまま小さく呟く。

画面上に写った海を見て、一瞬ハッとした。


でも時間も時間で、あそこまで行くのは距離がある。

あの場所に居るとは限らない。


行っても帰ろうとしても、終電ももうない。

一度その場所が気になると、違うと分かっていても行って確かめないと気がすまなかった。


とりあえず車を走らせ目的地までたどり着く。

車から降りると、さすがにこの辺りの真夜中は肌寒かった。


懐かしい場所。

美咲と来てから一度も訪れなかった場所。

あれからどれくらいの月日が経ったんだろうか。


真っ暗闇の中、潮の匂いと波の音が静かに聞こえる。


辺りに視線を送り、美咲を探すも、それらしき姿はない。


…―――ここじゃ、ないのか。