Existence *

「行かれてないですね」

「…行ってない?」

「はい。キャンセルされてます」

「わかりました」


キャンセル?

なんで?

全然、美咲の行動が読めない。

とりあえずこの人混みのだだっ広い空港内を探した。

人が多いのと、どこに居るのかも検討が出来ない室内を探しこむ。


だけど美咲らしい人物を見つける事が出来なかった。

店の中よりも、待合室のソファーを全部探した。


一度、車に戻って行きそうなところを探し出す。

でも美咲の行きそうな所なんか全く分からず、その足で繁華街に向かった。

時刻は23時半。

まだ夜の街は人混みで溢れ返り騒がしい。

どこかで座り込んでいるのだろうか。

ほっつき歩いているのだろか。

見当もつかないまま俺が探していると、


「…わぁーっ、楓じゃん!超久しぶり。ねぇ元気にしてた?」

「……」


蔓延の笑みで駆け寄ってきて、俺の腕を掴む女を見て顔を顰めた。

そんな俺に構わず女は歩く俺の横に並んで笑みを作って俺を見上げて来る。


「ねぇ、今からさ、みんなで集まって遊ぶんだけど遊ばない?楓なら大歓迎だよ?」

「悪い。俺、急いでっから」

「えーっ、ちょっとだけでいいから行こうよ。楓来たらみんな喜ぶしさー」

「ごめん、マジで俺急いでんの。悪いな、」


掴まれた腕を離し、俺は女にそう吐き捨て、歩く足を早める。


「えー、つまんなーい!また遊んでよねー」


背後から飛んでくる女の声を無視して、俺は繁華街を抜け出した。